英国、北の大地、都市部、そして富士見町へ
イギリス出身のエンジェルさん
イギリス出身で、現在は池袋地区にお住まいのジェレミー・エンジェルさんを訪ねました。以前は北海道で動物関係のお仕事をされていたジェレミーさん。1980年頃から動物テレビ番組の海外ロケを担当してサバンナに生息するゾウや家畜と人間との関わりなど世界中の魅力的な動物を映像や写真で紹介してきました。その後、千葉県での生活を経て92年に富士見町に移住してきました。
子育て・自然環境-富士見町を選んだ理由
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時には厳しい富士見町の自然に挽き付けられた
富士見町を移住地に選んだ理由を尋ねると広い土地と自然環境が豊かなことをあげてくれました。ジェレミーさんは「何よりも4人の子供たちを育てるのには最適な場所」「富士見町の環境は子供たちにとって成長する機会があふれている」と振り返ります。
ある時、近所の養鶏農家から老いた鳥を譲っていただき子供たちと絞めて食したそうです。自分たちが食べる素材を自分たちの手で命を食べる大切さを身近で体験できるのも豊かな自然があるからです。話を伺っていているジェレミーさんの表情からは、常に子供たちを想う父の優しさが伺えました。
また、都心部とは違い広い土地(自然)があることも大きな理由だったそうです。マンション暮らしと違い、大好きな動物達とも広々とした空間で暮らすことが出来る。周りには気兼ねなく散歩できる森や農道もある。人間にとっても動物にとっても心地良くあり、時には厳しい富士見町の自然にジェレミーさんは惹きつけられたようです。
仕事と地域
現在は自宅を拠点に仕事
移住されて来た当初は動物関係のテレビ制作や出版・執筆の仕事をされていました。テレビ番組制作の仕事が終了してからは翻訳の仕事を主にして現在も活躍されています。
現在の仕事のスタイルに落ち着く要因の一つにはインターネット環境が整ったことが大きかったようです。富士見町に居てもタイムロスなく情報が行き交う通信環境と東京へ行くのにも2時間半程度で出られる利便性が自宅を拠点にした仕事を可能にしました。
ジェレミーさんは、地区の活動にも積極的に関わっています。
田舎暮らしで課題となるのが地区との関わりですが、参加することで円滑なコミュニケーションが生まれると楽しそうに話してくれました。その中でも地元の担い手である30歳代の人のたくましさには感心されたようです。池袋地域には土木関係の仕事を経験した若者が多く、重機の扱いや作業を効率的にこなす姿は、1人でも都会の若者の10人分くらいの仕事が出来るとのこと。
日頃から地域のコミュニケーションが出来ていれば万が一の災害時でも素早く対応できます。地域に根ざしたルールにも馴染むことで富士見町での生活がより充実しているようです。
未来を見据えて
富士見町でも年々高齢化は進んでいます
富士見町でも年々高齢化は進んでいます。ジェレミーさんは「是非とも若い人に来て欲しい」と願っています。
地方に移住する際の障壁となるのが仕事選びです。地方には仕事がないと思われがちでした。しかし、現在は情報社会が発達したことで地方でも出来る仕事が増えました。ジェレミーさんのようにインターネットを使って仕事をするスタイルが、これから地方への移住を考える人の好例になるはずです。また、農業や林業など自然を活用したビジネスが出来るのも地方ならではです。
仕事と同じくらいに家族との時間や豊かな自然を享受する事を大切にできる暮らしは、都会での暮らしを経験した人にこそアピールできるのではないでしょうか。
豊かさとは
豊かさとは何だろう…?
「豊かさとは何だろう…」ジェレミーさんの話を伺いながら、そんな問いが自然と浮かびました。
どこかに正解があるわけではありませんが、インターネットが発達した現在、その土地でないと出来ない経験や豊かな自然が残っていることが“暮らす場”を決める理由になるのではないでしょうか。
アメリアの詩人 ゲーリー・スナイダーは、「真の豊かさとは、何ひとつ必要としないことだ」と綴りました。
人間にとっての利便性(必要性)だけが求められる時代は終わりに近づきつつあるように感じます。
ありがたいことに富士見町には人間と動物と自然が互いに認め合うような空間的な余裕が残されているます。人間にとっては多少不便であっても、その調和を味わえる時間こそが“豊かさ“になるのではないでしょうか。
ジェレミーさん、取材に協力いただきありがとうございました。
富士見町の環境は子供たちにとって成長する機会があふれている
仕事と同じくらいに家族や自然を大切にできる暮らし
大好きな動物達と広々と暮らす
是非とも若い人に来て欲しい
- 経歴:
- - イギリス出身。千葉県での生活を経て92年に富士見町に移住。
- 自宅で翻訳の仕事をする傍ら、地区の活動にも積極的に関わられている。